医薬品開発のための毒性試験は、現在各国で基準が異なる。従って、ある国で認可された医薬品も、これを他国で使用したい場合には、当該国の規準にのっとって毒性試験をやり直さなければならない。これは、重大な不都合であり、治療できるはずの疾病が手遅れになる可能性もある。このような問題を回避するため、「医薬品規制に関する調和国際会議(ICH)」では国際的に通用する毒性試験が討議され、最近になって、そのガイドラインが示された。今回のシンポジウムでは、このICHガイドラインを我が国で如何に実践し、どのようにすれば有効に運用できるかを、毒性試験を企画・実施する者、試験データを評価・審査する者、それらの研究者を教育・育成する者、すなわち官民学の立場から多角的に討議した。